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第9話 裁きと、処刑の執行

Author: みみっく
last update Huling Na-update: 2025-11-30 14:40:05

 先に向かっていた警備兵が到着したと分かるや否や、囚人たちはすぐに買収の交渉を始めた。

「おい、話せば分かるだろ? いくら欲しい?」 「見逃してくれりゃ、お前にも分け前を――」

 その言葉が届いた瞬間、俺の中で抑えていた怒りがさらに高まるのを感じた。

 ……楽に死ねると思うな。

 幼い少女を弄び、苦痛を与えながら笑っていた連中――その行いを罪とも思わぬまま、賄賂で逃れようとしている。

 全員同罪だな。

 衛兵たちは多少関わっただけの立場かと思っていたが、今こうして笑いながら賄賂を渡し、交渉をしているのはまさにこいつらだ。

 自分たちは衛兵で、軽い罪だとでも思っているんだろう?

 ――その通りにしてやる。

 俺が歩み寄ると、囚人たちの顔色が変わった。

 異様なオーラが周囲を覆い、空間が歪むほどの怒りを滲ませる。

 それを感じ取った囚人たちは、恐怖に顔を引きつらせながら後退る。しかし、すぐ後ろにある冷たい壁が逃げ道を塞ぐ。

 ゴォォ……

 沈黙の中、まるで空気そのものが揺らぐような低いうねりが響く。

「さて……楽しい談笑は済んだか?」

 低く、冷たい声音が牢屋全体を支配する。

 誰一人として動けない。誰一人として言葉を発せない。

「先ほどまで、賑やかにしていたように聞こえたが……? まあ、良い。」

 声は淡々としている。だが、その冷たい響きに、警備兵でさえも息を詰まらせていた。

 その中でようやく、一人の警備兵が震えながら口を開いた。

「ひ、必要でしたら……囚人を……出しますが。」

 俺は静かに、一歩前へ進む。

「その必要はない。これより、辺境伯の名のもとに裁きを言い渡す。」

 その言葉が牢屋全体に響く。

「私は、国王より統治権を一任された者――すなわち、この地において法であり、正義そのものだ。」

「ゆえに、裁きを下す権利を有する。異論は認めない。」

 静けさが広がった。

 他の囚人もいるはずなのに、話し声も物音もひとつしない。

 魔法もスキルも使っていない。 だが、今この空間は完全に俺の支配下にある。

 警備兵ですら、捕まったわけではないのに震え、圧倒され、息を殺していた。

 何者にも許されぬ罪がここにある。

 今、この場を支配するのは、俺の怒り――そして、下されるべき裁きだ。

「……店主および、その使用人は同罪とし――即、死刑とする。」

 牢内の空気が凍りついた。

「は? 罪状はなんだ!? なにもしてねぇぞ!!」

 怒声が響くが、俺は一歩も引かない。

「黙れ。」

 その一言が、まるで刃のように突き刺さる。

「何もしていないだと? 貴様ら、辺境伯の俺に襲い掛かったことを忘れたか?」

 静寂が広がる。

「これは、死罪に値しないと思うか?」

 問いかけるように警備隊長へと視線を向ける。

 隊長は冷や汗を滲ませながら、慎重に答えた。

「辺境伯は国王から統治権を委ねられた存在であり、辺境伯閣下を襲うことは王権への反逆と見なされます。すなわち……極刑かと。」

 他の警備兵も沈黙の中、静かに頷いた。

 俺は一息置き、続ける。

「続いて……衛兵の者たち。」

 怯えた視線が俺へと向けられる。

「お前らは町の治安を守る立場。警備・監視・防衛を担う兵士のはずだが? いつから店主を守り、指示を聞くようになったんだ?」

 震える音が聞こえた。

「同罪と裁きたいところだが……命は助けてやろう。」

 安堵する気配が、一瞬広がる。

 しかし――

「ま、楽に死ねると思うな。」

 ユウの怒りで、空間が歪む。

「王国の兵士として裏切り行為をしたとして――謀反の罪として裁きを言い渡す。」

「お前らは、永久追放とする。」

 目を見開く者、息を詰める者――そして、絶望に囚われる者。

「好きな国へ行け。お前らが仕えていた店主は消え去ることになる。また、新たなる好きな主を選ぶがいい。ころころと主を替えるのが得意なんだろ?」

 言い渡された処罰は――生きることそのものを地獄へと変える。

 信用を失い、帰る場所もなくなり、名を知る者はどの領地でも受け入れを拒むだろう。 身分も財産も失い、社会的には死んだも同然になる。

 まるで魂が抜け落ちるように、3人の衛兵はその場で崩れ落ちた。

 ショックのあまり失神するほどに。

 彼らは知っていたのだ。 罪の重さを。 処罰の苛烈さを。

 そして――今この場にいる者が、何者なのかを。

 牢内に響いていたはずの笑い声は、もうどこにもなかった。

 静寂だけが、すべてを支配していた。

「直ちに執行する。ヘルフレイム……」

 自分たちが行った行為、幼い少女をいたぶり苦痛を与え続けた罪を味わいながら消え失せろ。

 ユウが手をかざし、魔法を唱えると罪人たちの身体に黒い炎が現れる。徐々に足元から全身にゆっくりと広がっていく……。炎の熱を感じ焼ける苦しみでは死ねず、体が焼けても死ねない。そういう風に俺がイメージをしたからだ。簡単には死なせないと。

 ヘルフレイムは、水に漬けようが燃え尽きるまで消えることはない。そして、灰も残らず苦しみながら死んでいく名前の通りの地獄の炎だった。当然、回復魔法、治癒魔法、水属性も多少効果を有効してある。現に水属性の魔法の水で消そうとしている者、回復魔法を使っている者がいるが……延命をして苦しむ時間を伸ばしてるだけだ。

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